第16章 if...
あの日、初めてバニーと出逢った日。
それまでの俺は、友恵を亡くし楓とも離れ……そう、あの時も現実を受け入れる事が出来ないまま……
月日だけが流れていたんだ。
だけどよ、そんな俺も、もちろん友恵も楓も、アイツさ……
俺達皆を、まとめて愛してくれたんだ……
そんなバニーだったからこそ、俺はどうしてもバニーの血を引く子供を……
バニーの手に抱かせてやりたかったんだ……
そう、俺達は幸せだった。
バニーの全ては俺のモンで……
俺の全ては
バニー……
お前のモンだ……
愛してる
バニー
もっと声に出して言えば良かった。
今からでも、届くのかな……
バニー
バニー……
愛してる
愛してる……
…………………………
「あ、やっぱりここにいた。
ママ、お父さんまた、ここに帰ってきてましたよ」
「あ!やっぱりねー病院抜け出したって聞いて、すぐにここだって思ったわ。
ありがとう、ジュニア」
「ママ、もう僕はジュニアじゃありませんよ」
「あっ!そうね、私ももうお婆ちゃんだもんね」
「そうですよ、グランマ」
「やだーそっちのが、恥ずかしいっ!それにしても、あいっかわらず、足腰だけは丈夫なんだから!お父さんってば」
「そうですね、でも、それよりもやっぱり……」
ここは、僕がお父さんと住んでいたマンションの寝室。
お父さんは、寝室に飾ってあるパネルがお気に入りだ。