第16章 if...
お父さんは、今は、まぁ……ね、もうかなりの高齢で……入退院を繰り返す感じなんだけど……
いつも病院のベッドを抜け出しては自宅へ戻り、この寝室に飾ってあるパネルを見ては何かを呟いている。
時には泣いたり、時には笑ったりしながら……
「さ、お父さん、帰りますよ」
「…………」
ママと僕は顔を見合わせる。
そして僕は、わかったと言うように首肯く。
「行きますよ、虎徹さんっ!」
「お、おぅ……バニーか……」
そう言ってお父さんは、振り向く。
「さぁ、行きますよ!虎徹さん」
“お父さん”と呼んでも振り向かないのに、
こう呼ぶと必ず振り返って返事をしてくれる。
どうやら僕の声はダッドによく似ているらしい。
そして振り返ったあと、
僕の手を握り、その手にキスを落とし……
「バニー……愛してる…………」
その光景を僕とママは、いつも温かい目で見つめるんだ。
そう。僕の名前はバーナビー・ブルックス。
二人の父の名は、バーナビー・ブルックスと鏑木・T・虎徹。
今、僕は10年連続のキングオブヒーロー、KOHだ。
幼い頃、僕はジュニアと呼ばれ、たくさんの愛の中で育った。
今は、僕の子供がジュニアと呼ばれている。
そして
お父さんとダッド……
いや
タイガーとバニーの愛は
これからも続いていく
きっと
永遠に……
end