第16章 if...
合宿当日、俺はジュニアをアカデミーまで送って行った。
折紙にジュニアを預けると、アイツさ振り返りもしないで、スタスタと俺の前から行っちまってよ。
なんか、拍子抜けと言うか、これが親離れってやつかな、とか……ごちゃごちゃ考えながら、家に帰った。
俺にはジュニアに頼まれた、大事な仕事があったからよ。
そう、バニーの部屋を片付ける事だ……
バニーが死んで、入ったのは一度だけ。
保険やなんか色んな手続きをするのに、書類がいんだけどよ……それを取りに入っただけ。
バニーは俺でもすぐわかるように、キッチリと揃えていてくれたからさ、ホント助かったんだ。
バニーがいなくなって……
5年が過ぎていた……
未だに俺は、バニーの死と向き合えてなかったことを、この部屋に入って思い知らされた。
部屋を開けると、懐かしいバニーの匂いがした……
もちろん、匂いは薄れている。
でも、間違いなくバニーの匂いだ。
目に涙が浮かんできた。
でも、ごしごしっと腕で拭うと
「片付けるかっ」
俺は自分に気合いをいれるように、大きな声を出して片付け始めた。
お洒落なバニーの部屋には、ばかでっけぇクローゼットもあった。
そこを開けると、あの日の服も出てきた。
キレイに折り畳まれて、袋に入ってある。
もう涙が止まらない。
とてもじゃないけど、捨てることが出来ない。
俺は全部の服を段ボールに詰めて、物置に置くつもりだった。
そしてクローゼットに掛かってある服を取ろうとした時……
奥に何かあるのに気付いた……