第15章 How to A B C & ...!? 前編 A&B
虎徹さんはまだ濡れたままの僕を、ベッドにポンッと投げると軽くキスをしてくれた。
「ちょっと待ってて」
そう言うと、引き締まったお尻を僕に向け、リビングルームに行ったようだ。
すぐに戻ってきたその両手には、用意されていたシャンパンとフルーツ、そしてスマホがあった。
スマホをベッドの枕元に置いて、シャンパンとフルーツはベッド横のナイトテーブルに置いた。
「部屋に用意してあったの見えたからさー
いいよなァ?」
「はい。もちろんです……」
虎徹さんはシャンパングラスにシャンパンを注ぐと、クイッと飲み……
え?また一人で飲み始めた!?
するとベッドに横たわったままの僕の頭を少し起こしてくれて、虎徹さんの顔が近付いてきて……
コクッ……
虎徹さんの口の中で少し温くなった、シャンパンが僕の喉を通っていった。
「美味い?」
知ってますか?虎徹さん。
人間が一番不味く感じる温度は、人肌。そう、体温なんですよ。
普段の僕ならきっとそう答える。
そしてよく冷えたシャンパンを自分のグラスに注いで飲み始めるだろう。
でも今の僕は違う……
貴方の温度を分け与えて貰ったみたいで……
こんなにも嬉しい……
でも、それを言葉にするのが恥ずかしくて
何度もコクコクと頷いた。