第1章 キスだけじゃ、我慢できない
「私、バーナビーのこと……凄く好きだよ……
お父さんのことも、ホントは凄く……」
「あ、ありがとう。楓ちゃん」
「ううん、バーナビーは、お父さんのこと……」
モジモジとして、何か言葉を探している楓ちゃんを見て、やっと気付いた。
そう、彼女が僕の気持ちに気付いていることに。
「お父さんもね、きっと、凄くバーナビーの事を、好きだと思うの……見てて、わかったよ」
「……」
「だからね、これからも、ずっと一緒にいてあげてね……」
「はい……ありがとう、楓ちゃん……」
「うん」
「行きましょうか?」
僕が手のひらを差し出すと、その上に手を重ねてくれる。
「うん!」
ギュッと握りしめたその手を、僕もしっかりと握り返した。
「楓ちゃんは、きっと、お母さんに良く似ているんでしょうね」
「そう?お母さんはね、きれいで優しくって、病気には負けちゃったけど……
凄く強い人だったんだよ!」
笑顔で答える楓ちゃんに、僕の胸も熱くなる。
「楓ちゃんにそっくりですね」
「ふふ、ありがとう」
「虎徹さんにも、似てますよ」
「えーっ!?そぉ!?それは、あんまり嬉しくないかも……」
「ははっ!」
その可愛らしいところが、そっくりなんですけどね。
それは僕の胸の中に……
「ねぇ、また、遊びに来ていい?」
「もちろんですよ、ずっと一緒にいたいぐらいです」
すると何故か真っ赤になって……
「そーゆーこと、誰にでも言っちゃダメだよ?」
あーこんな所まで、似てる!
僕は笑いが止まらなくなった。
「もうっ!バーナビー!」
「ごめん、ごめん。さ、早く戻りましょう」
「うん!」
僕達の大好きな人の所へ……
もう一度、二人、手を強く握りなおすと、
カフェで待つ虎徹さんの元へ急いだんだ……
おまけend