第1章 キスだけじゃ、我慢できない
「バーナビー……」
「はい?」
「今日も晩御飯は、家で食べる?」
「食べて帰りましょうか?」
せっかくシュテルンビルトまで来てるんだから、今夜はどこか美味しいレストランにでも……と考えていた。
「ううん。あのね、昨日みたいに、また……
バーナビーと作りたいな、って……」
「え?」
「楽しかったの、その……バーナビー男の人なのに、なんだかお母さんと一緒に料理作ったりすると、こんな感じなんじゃないかな、って思って……」
「楓ちゃん……」
「あ!ご、ごめんなさいっ!こんな……なんか変なこと言って……」
「いえ、変じゃありませんよ。凄く嬉しいです。僕も何だかそんな気分でしたから……」
「ほんと!」
「えぇ」
「じゃあ、今夜はお父さんの好きな物、作ろう!」
「はい」
僕が笑って返事をすると、楓ちゃんは僕の目を見て、ニッコリと笑った。
「お父さんの好きな物、覚えてくれる?」
「えっ?えぇ……」
どういう意味なんだろう……そんな深い意味はないだろうと高をくくっていたら
「いつも一緒にいてあげてね」
「……はい」
「……」
「……」
何故か二人で沈黙した……
「あのね……」
「はい……」