第14章 君となら視線だけで
そして今日も夕食を食べずに帰る。
いつも車で家のすぐ近くまで、送ってくれる。
「今日は、出動要請なかったね」
「あぁ、たまにはこんな日もないとな」
虎徹さんが車を運転しながら、助手席に座る私をチラリと見て優しく笑う。
ほんとこの時間が大好き……
でも、ずっと思っていたことが……
「ねぇ」
「ん?」
「どうしていつも、夕食は一緒に食べないの?」
二人で夕食を食べたことが、ほとんどない。食べるときは大体他のヒーローも一緒だった。
「えっ!?」
なぜか、急に焦り出す虎徹さん。
「な、何っ?私、変なこと聞いたっ!?」
「い、イヤっ!!!あ、もう着くぞっ」
…………
あー一ーあ、せっかく二人きりになったのに。
いつもこの、二人きりの時間が短い。
虎徹さんがブレーキを踏んで、車を止めた。
いつも降りる場所に着いた。
「着いちゃった……ね」
「おぅ……明日、テストだろ?頑張れよ」
そう言って私の頬を撫でて、優しく引き寄せ
甘いキスをしてくれる。
そして、私は彼を抱き締める。細いのに……この固くてガッシリとした背中と彼の腕の中が
安心できて
ほんと、幸せな時間。