第14章 君となら視線だけで
ものっすごく気分がいいまま、BTBのテレビ撮影に向かった……この日は生放送だった……
のに…………
「いや、もーーーほんっとゴメン!!!悪かったってーーーなっ!!!」
「信じらんないっ!!!なんで、あそこで間違うのっ!?一体、何回やってきてると思ってんのよっ!」
「そうですよ、虎徹さん。さすがに今日はフォローできませんよ!」
一番盛り上がるサビのダンスを間違えただけでなく、そこからガタガタになって、最後の最後まで、ひどいものだった…………
あーーー……また、ネットで叩かれちゃう。それでなくても、ワイルドタイガーいらない説が、囁かれてるのにっ!!!ハンサムと二人なんって、絶対にイヤっ!!!
「悪かったって、なっ。お前の評価まで下がっちまうな。足、引っ張ってゴメン……」
「えっ?私の評価?こんなので、下がるワケないでしょ?私を誰だと思ってるのよ」
「!」
「それより一緒の仕事が来なくなる方がイヤ。だって、もっと一緒に…………」
続きが言えなかった。
虎徹さんが抱き締めてきたから。
その時、ドアの開く音がしてすぐにパタンと閉まった。ハンサムが何も言わずに部屋を出て行ったみたい。
「あいつも、空気読めるようになってきたな……」
「……ふふ」
「悪かった……ごめん」
「うん……」
虎徹さんが顔を近付けてくる。
そして
甘いキス
何度も何度も、私達は繰り返した。