第14章 君となら視線だけで
「美味しいでしょ?彼女が考えたんですよ」
「ええっ!ハンサムの彼女、何気に凄いよね!」
「そうなんですよ。わかりますか?」
彼女を褒められて、よっぽど嬉しかったのか、私にまでハンサムビームを撒き散らしてくる。
すると彼女もまた私達のテーブルにやってきて
「お口に合いましたか?」
「凄く美味しいって、褒めてましたよ」
「もう!バーナビーに聞いてないっ!」
彼女……本当に凄い……
あのハンサムに『フツウ』の幸せを、ちゃんと与えてる。
こんなに穏やかに、ニコニコと笑うハンサムをずっと見ているのは、正直初めてな気がする。
そう、ハンサムもだけど……
私達、ヒーローに一番遠い言葉が『フツウ』なの。
だからその『フツウ』がどんなに大切な物で、手に入れてもそれをキープすることの難しさを
きっと、私だけじゃない。
ハンサムも虎徹さんだって、よくわかっている。
そんなことを考えて二人を見ていると、
突然、手をギュッと握られた。
虎徹さんだ。
「いい子だろ?」
「うん、なんか私が言うのも何だけど……」
「ん?」
「ハンサムの彼女がこの人で、良かったな、って」
「ははっ!それ、俺も同じこと思ったわ!」
そして虎徹さんが耳元で
「やっぱり俺達、似てきてんのな」
だって。
ふふふ……