第1章 キスだけじゃ、我慢できない
「それも似合いますよ」
僕がそう声をかけると
「うーん……でもなぁ~……」
また、真剣に悩んでいる。
「……やっぱり、自分の好きな方にするっ!」
そう言って、僕が選んだ方の服を手に取ったから思わず
「これも買って、後で虎徹さんをびっくりさせましょう。喜びますよ、すごく」
すると楓ちゃんが、僕の顔を見て
「お金遣いすぎだ!って怒られるよ」
「大丈夫ですよ」
「……本当に、喜んでくれるかな……?」
「もちろんです」
僕が胸を張ってそう答えてあげると、
「バーナビーもお父さんの事が、好きなんだね」
ニッコリと笑って楓ちゃんが、言ってきた。
「えっ!?」
思わずドキッとしていたら、
「私もね、ホントは大好きなんだよ……でもね、いつまでも小さい子供みたいに接してくるから、なんだか素直になれなくって……」
「大丈夫ですよ。虎徹さんは、どんな楓ちゃんのことも愛してますよ」
「愛……」
顔を真っ赤にする、楓ちゃん。
「ふふっ!やだっ!バーナビーって、面白いんだね!」
「えっ!?そ、そうですか!?」
今までに、そんな事を言われた記憶は全くないので、僕は少し焦ってしまった。
「うん!お父さん、びっくりするかなぁ~?」
「しますね、必ず。じゃあ、この2つは僕からのプレゼントで」
「ありがとう、バーナビー!」
いつの間にか、僕は彼女の家族になった気分で一緒に買い物を楽しんでいた。