第12章 LOVE SAUCE 前編
「の、飲みましょうっ!!!これ、頂き物のすごくいいワインなんですよっ!!!」
あーーーーーっ!!!ダメだ!!!
やっぱり勇気が出ないっ!!!
でも、明らかに虎徹さんは、僕のこと誘って……る……?
のかな?
それすらも、一人で長く居すぎたからか、
恋愛経験すらないからか、全くよく解らない。
けど……
うん。そうだ!大丈夫だ!
まだチャンスはある!!!だって虎徹さんは、まだ僕の部屋にいるんだからっ!!!
「バニー今度はちゃんと注いでくれよ?」
虎徹さんは、僕の邪な考えなんて気付いていないのか、
何事もなかったかのように、いつもの笑顔で言ってくる。
「は、はい。どうぞ」
「ん、あんがと」
また僕の事をチラッと上目使いで見て、言ってくる!!!
あーもうそれだけで本当は爆発しそうだ!!!
でも、焦っちゃダメだ!きっと!!!
バレてしまう!!!
そう。僕が……童t……
いやいや、だから、そんな邪な考え、この可愛らしい虎徹さんが…………
ゴクッ
僕は少し喉を鳴らした。だって……
窓際で細くて長い脚を組んでワイングラスを傾け、とてつもない色気を放つ虎徹さんに、気付いたからだ。
うん、まだ夜は明けない。
ここまで来たんだ。やっと。