第12章 LOVE SAUCE 前編
リビングに入ると、虎徹さんは大きな窓の前に行き、月を見ながら言った。
「なんかここからだと、月に手が届きそうだな」
僕はワインとグラスを2つ用意して、彼の横に立った。
「一人で飛んで行かないで下さいね」
そう言いながら、グラスを一つ虎徹さんに渡した。
「ははっ、イクときは一緒だ、な、バニー」
「!」
僕は返事が出来なかった。
なんだろ、もっと慣れてたら……
それとも、もっと虎徹さんの事が好きじゃなかったら……
軽く返事が出来たのかな……
黙ってしまった僕に、虎徹さんが
「バニィ?」
また、上目使いで聞いてくる!!!
「あ、す、すいません」
僕は焦って虎徹さんのグラスにワインを注いだ。
「あ……」
焦って手元の狂った僕は、ワインを少し虎徹さんにかけてしまった!
「す、すいません!シミになる!すぐに脱いで……」
思わず虎徹さんの服に手をかけると、虎徹さんが、
パッと
僕の腕を掴んだ。
あ、しまった!服を脱がそうとするなんて……
すると虎徹さんは
「いい、大丈夫だバニー……」
「でも……このままじゃ……」
虎徹さんは、僕の腕を掴んだままだ……
そして、僕の顔をじっと見つめてくる……
あ、こ、こ、虎徹さん……
目を、目を、ゆっくり……と、と、
閉じようとしているっ!!!???