第12章 LOVE SAUCE 前編
暗い夜道。
街灯は、まあ明るい方かな。
でも、今夜は月明かりが眩しい。
大きな男二人が手を繋いで歩いているのを、隠すような暗さじゃない。
でも、酔っ払ってるんだったら、いいですよね?虎徹さん。
今度は僕が、甘えてるのかよく解らない虎徹さんの手を引っ張り歩いている。
行き先は……
そう僕の部屋だ。
でも、ほんとにもう少し飲みたいだけなのかもな。
あまり期待するのは止めよう。
じゃないと……
二度とバディにすら戻れないような気がするから……
そう、それが怖くて……僕は、どうしても一歩先に進めない。
虎徹さんを失う“恐怖”と
虎徹さんを手に入れる“幸福”
比べるなんて、とても出来ない。
そう、僕は……一人になることを、恐れているのかもしれない。
今のこの幸せを……
手放す事なんて出来ない。
例え彼が……虎徹さんが僕だけのモノにならなくても……
そう。バディのポジションだけは、誰にも譲りたくないんだ……
そんな事を考えていると、ふいに
クイッと
腕を引っ張られた。