第12章 LOVE SAUCE 前編
思わず大きな声を上げてしまった僕は、なんだか居たたまれなくなり……
さっさとワインを飲み干すと、
「少し歩きましょうか?」
そう言って、支払いを済ませてバーを出た。
虎徹さんは、泣き疲れたのか、ウンと頷いて僕の腕を掴んだまま、離さない。
ロックバイソンさんは、こんな可愛い虎徹さんを見てなんとも思わないんだろうか?
いや、それとも……
もう既に……
いやいや、それよりもこんな事を考える僕がおかしいのか!?
頭の中でグルグルと考えていたら
店を出た途端に虎徹さんが、顔をパッと上げて
「へへっ、ごちそーさん」
「えっ!?」
「だってバニーちゃん、あんなたっかいワイン頼むんだもん、俺、払えねぇよー」
「……貴方って、人は……」
でも……
泣いている顔よりもずっといい。
いつもの悪戯っ子のような笑顔にホッとしていると、
「このまま少し歩いてもいいか?」
「いいですよ……」
この時間を共有できるのが嬉しいのに、どうして僕はいつも、こんな言い方しかできないんだろう。
眉間にシワを寄せ、少し自己嫌悪に陥っていると、
虎徹さんが僕の手を握って顔を覗き込んできた。