第12章 LOVE SAUCE 前編
「あれ?今日はロゼのワインじゃないの?」
酔っ払って泣いて、ぐちゃぐちゃの顔をしているくせに、どーして気付くのかな?そんな細かいこと。
「寝る前に呼び出されて、疲れてるから、甘いワインをオーダーしただけですよ」
なんて憎まれ口を叩いていたら、
すぐに琥珀色のワインがグラスに注がれてテーブルに出てきた。
甘い、甘い……だけど、貴方の瞳と同じ色をした
とても上質なワインを一杯……
「奥さんに……」
僕はグラスを虎徹さんに傾けて、軽く一口、口に含んだ。
僕がその甘いワインの余韻を感じていると
うっ……う……
と、また虎徹さんが泣き出した。
「は、恥ずかしいから、止めて下さいっ!僕が泣かせたみたいじゃないですかっ!」
「だ、だって……ば、ばにぃが優しいから……」
そう言って僕の腕を掴んでくる。そして、腕に顔を寄せて……
「うわ!これ高級レザーですよ!?鼻水なんて付けないで下さいっっっ!!!」
………………あーあ、べとっ、、、って……
遅かった………………