第12章 LOVE SAUCE 前編
「虎徹ー」
「んー?」
「オレは今までこの役目、オレしかいないと思ってたんだけどよー」
「あ?」
「それ、譲るわ」
「へ?」
「ほら、来たぞ。お前の相棒」
息を切らせて、不機嫌そうなツラでやってきた、虎徹の相棒
バーナビー
「バニー……」
「後はお前さんに任せたぞ」
オレはバーナビーの肩をポンと叩いて、席を立った。
「困りますよ、ロックバイソンさん……」
はは、口ではそう言っても、顔は困っちゃいねーんだよ。
でもオレもそれに乗っかるフリをしてやるよ。
「ま、頼むよ、相棒……だろ?」
「仕方……ないですね……」
その時、虎徹の表情が少し笑ったように見えたのは……
ま、いつものことか。
「頼んだぞー」
オレはいつもは立ち寄りもしない、ゴールドステージにあるバーを後にした。
そう、ここは、バーナビーの住む部屋からほど近い場所にあるバー。
オレ達が、めったに立ち寄らない場所だ。
選んだのはもちろん、虎徹。
オレがお前の背中を押してやる。
な、もういいだろ?
友恵ちゃん……
オレは心の中でそう呟くと、夜空に浮かぶ
丸くて大きな月を見上げた。