第12章 LOVE SAUCE 前編
「はぁ~……毎年、毎年……この時期になると、おんなじ事ばっか言ってよぉ……」
「…………あ?」
「あ?じゃねぇよ……」
「へへっ……そうか……」
それでも、ま、去年あたりから、登場人物がもう一人増えた。
「そーいえば、こないださーバニーのヤツが……」
そう。突然組まされた相棒のバーナビー。
今までは、友恵ちゃんの名前しか出てこなかったのにな。
こいつにとっちゃ、えれー進歩だ。
でも、ま、
「ともえ……」
そう呟いて、また、酒を飲む虎徹。
「アントニオーーー俺はーーー」
ぐすん
と、あーあーまた泣き出しちまったよ。
「もういいんだ、虎徹。お前は先に進んでも」
「あー?」
そう、親友の虎徹は、毎年この時期……
友恵ちゃんの命日が近づくと……
同じ事を呟いては、酔い潰れる。
そして左手の薬指に光る指輪をなぞっては、ぶつぶつと言って酒を煽る。