• テキストサイズ

君とならキスだけじゃ【TIGER&BUNNY】

第10章 キスだけじゃ、誘えない


時間もなく慌ただしくメイクや着替えを済ませると、私はステージに上がった。

そう、ここでは私は“ブルーローズ”じゃない。

ただの歌手“カリーナ”。

ブルーローズの時には感じることのない緊張感を携え、私はピアノの前に座る。

そして、軽くフッと息を吐くと、私の目線の前方にある、カウンターバーに見知った背中が見えた。

そう。


タイガーだ!


タイガーは私がステージに上がったことに気付くと、グラスを少し上に上げて、

ニコッと微笑んでくれた。


帰ったんじゃなかった……



その日私は、いつもよりも指が乗り、ピアノ演奏もだけど声もよく出て……

今までで一番の大きな拍手をお客様達から貰う事が出来た!

少し照れくさくて、でも、嬉しくて……
思わずタイガーの方を見ると

タイガーも嬉しそうに、大きな音をたてて、手を叩いてくれていた。


私はステージを降りると、また控え室に戻り急いで帰り支度を始めた。

すると店のマネージャーから声がかかった。

「カリーナ」
「あっ、はい!」

「今日のステージ、凄く良かったよ。また頼むね」

「はいっ!ありがとうございます!」

嬉しくて大きな声で返事をした。
今日の疲れが全部吹き飛んだみたい!

気分が高まったまま、裏口のドアを開けると……


「よっ、お疲れさん」


タイガーが壁に凭れて、立っていた。


/ 429ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp