第1章 キスだけじゃ、我慢できない
「これ……なかなか危険な食べ物ですね……つい、食べ過ぎてしまいました……」
「おお……俺も腹いっぱいだわ……」
「でも、皆で食べるとおいしいね」
「ああ」「そうですね」
俺達二人の声が重なる。
楓にはいつも寂しい思いをさせているからな、たまにはこんな日があってもいい。
「じゃ、私、先にお風呂入ってくるね!バーナビーが選んだシャンプー使うの楽しみ~」
「あ!バスボムも入れるといいですよ」
「は~い!」
なんだそれ。そんなモンまで買ってたのか。
リビングのカウチに二人で腰をかけると
「楓ちゃんが、あなたの好きな物を作りたいって」
「へー楓が」
「僕に覚えて欲しいって」
「へー……」
って、ま、まさか……
「彼女、気付いてますよ。僕達の関係」
「はぁ~~~ッ!?」
思わず大きな声が出た。
「あ、僕は何も言ってませんからね」
「そんなの、わーってるよ」
あ、バニーのやつ照れた。顔を赤くして、可愛いヤツ……
「虎徹さん、顔赤いですよ。自分で言って照れないで下さい」
「えッ!?俺!?」
「はい」
はァ~~~…………
思わず大きなタメ息が漏れた。
ダメだな。俺、隠せないわ。
すると、バニーが俺の手をギュッと握ってきて
「僕も大好きですよ……虎徹さんの事が……」
あー煽るな……
やっと二人きりになった少しの時間。
舌を絡め合っていると
バニーが唇を離し
「洗い物の時間、こうやってキスできますね」
そう、今日買った食洗機が早速活躍してくれている。
「あァ……買ってよかったな……」
俺達はまた、少しの時間だけ
お互いの唇を……舌を……
味わっていた……