• テキストサイズ

君とならキスだけじゃ【TIGER&BUNNY】

第10章 キスだけじゃ、誘えない


「虎徹さん……やっぱり、遅れてましたね。ワンテンポ……」

「だっ!今日は、半テンポだ!」

「は?結局遅れてんでしょ?」

本番が終わって用意されていた楽屋で話していると、私のケータイが鳴った。

「はい。カリーナです。はい。え?今からですか…………はい、すぐに行きます」


ケータイをカバンに入れると、二人がじっとこっちを見ている。

「貴女、もしかして今から歌いに行くんですか?」

勘のいいバーナビーに言い当てられた通り、今日の歌手が急に来れなくなって、2曲だけでいいからお店に来てほしいって……

明日はテストなんだけどな……

でも、カリーナとして歌う場所が欲しい私は

「そ、そうだけど……いいでしょ?事件も起こってないんだし」

二人の視線が痛くて思わず“いいわけ”めいた事を言ってしまった。

「そんなんで聞いてんじゃねェことぐらい、わかってんだろ?カリーナ」


……


な、なんでこんな時に名前呼んでくるのよ。か、顔が赤く……
恥ずかしくて下を向いていたら

大きなタメ息が聞こえた。


「はぁ~それ終わったらすぐ帰るんだぞ」

「え?」

「ほら、行くぞ」

タイガーが私の荷物を掴む。

「僕が行くと目立っちゃいますからね」
なんてハンサムのやつ、ウィンクしてくる!

「じゃな、バニーまた明日」
タイガーが私のカバンを持って、ハンサムに手を振っている。

「えぇ。また明日。ブルーローズさんも、無理しないで」
それに応えるように、ハンサムもヒラヒラと手を振る。

「あ、ありがと……」

私は小さく頭を下げると、先に大股で歩いていくタイガーの後を小走りで追いかけた。



/ 429ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp