第10章 キスだけじゃ、誘えない
この手よ!!!
なんでいちいち肩に置いて覗きこむのよーーーっ!!!
ドキドキしすぎて、集中できないじゃないっ!!!
……
ま、なんとも思ってないから、こんなこともできるんだろう……な。
しばらくすると、私の肩に置いていた手は、いつの間にかバーナビーの肩を抱いている。
あーあ。なんなんだかな、ほんと。
「あっ!ブルーローズ!」
「えっ」
ポンッと投げてきたのは、スポーツドリンク。
「もうすぐ本番だからなー!」
「アンタに言われなくても、わかってるわよっ!」
ペットボトルの蓋を開ける時に気付いた。
これ、私がいつも飲んでるヤツだ……
たしかこのビルの中にあるショップには置いてなくて……いつも先に買ってから来るんだけど……
そっか。
タイガー買いに行ってくれてたんだな……
「これ、ありがと……」
「おお!それ飲んだらもう少し合わせるぞ!」
「だから、タイガーに言われたくないってば!」
あーーーっ
どぉーーーしても、素直になれないっ!!!
わかってる、わかってるの。こんな生意気な言い方ばかりしてちゃダメなんだって!
その時、こちらを見ていたハンサムと目が合った。
「素直が一番ですよ」
小さく言ってくる!!!
「アンタに言われたくないわよっ!!!」
ハハッと笑うハンサム。
ほんと、変わった。こんなに優しく笑うことなんてなかったのに。
全部、タイガーのおかげ。
そう、わかってる。
タイガーは普段ふざけたり、おちゃらけたりしてるけど、
ホントは誰よりも仕事に対して真面目で、何に対しても一生懸命なの。
だから……
こんなにも
魅力的だってことも……