第10章 キスだけじゃ、誘えない
一通りのトレーニングを終え、汗を拭こうとタオルを取った。
いつもの私のタオルと、サイン入りのタイガーから貰ったタオル。
もちろん、いつものタオルで拭いて少し休憩していると
「なんだよ、俺のタオル使わねーの?」
タイガーが私の顔を覗きこんできた。
「うわっ!タイガー近いッ!!!」
思わず飛び退いた!
「ダメですよ!虎徹さん!女子高生にセクハラしちゃあ」
ハンサムがタイガーの両肩を掴んで後ろに引く。
「なんだよっ!そんなんじゃねーしッ!なッ!ブルーローズ!」
「そんなん、って何よ!あ、それよりアンタ達この後、またダンスの練習あるんだけど、ちゃんと復習してきたの!?」
そう、あの『夏の恋はお疲れサマー』がハンサムのおかげかいつもより売上が良く、今夜の歌番組のゲストに3人が招待されていた。
「ふっ。僕はもちろん、もう完璧ですよ」
ハンサムがポーズをとりながら話す横でタイガーが
「あー……あれネ。俺も出んの?やっぱ」
「当たり前でしょ!」
「当たり前ですっ!」
ハンサムと声が揃った。
「二人だったら、バッチリ息が揃うんじゃねーか?今からデュエットに変えるとか!?」
タイガーのその発言を聞いて、ハンサムと二人じとーーっとタイガーを見つめた。
「ダメ?やっぱ」
「当たり前です!何を今更言ってるんですか!貴方はっ!」
「どーでもいいけど、本番はちゃんとやってよね!」
あーーー
なんでこんないい加減なヤツ、好きなんだろ…………
なんか疲れたなぁ~…………