第10章 キスだけじゃ、誘えない
「お、はよ。お前昨日も遅かったんじゃねーのか?」
「あ……」
タオルを握りしめていたら、タイガーが来た。
昨夜はまた、バーで歌っていたら、タイガーとハンサムがやってきた。
「ま、ね。あ!もうハンサム連れてこないでよ!周りが騒いで大変だったじゃない」
「酷いなーブルーローズさん……」
タイガーの後ろから、ハンサムがしょんぼりしてやってきた。
「お前が顔出しなんかしてるからだろー?」
タイガーがハンサムの肩を抱いた。
「……」
……そう。タイガーは、スキンシップが多い。最初はイヤがっていたハンサムも、いつの間にか懐柔されて笑顔で対応してる……
「あ!タイガーさん!ブルーローズにも渡しておいたからねっ!」
パオリンが元気に話しかける。
「おぉ!大事にしろよー俺のサイン入り!」
笑顔でポンッと私の肩を叩いてくるタイガー。
「そ、そうね……家の掃除にでも使うわ。ありがとう」
「だっ!こら!それ使い古しじゃねーんだぞ」
「え?そうなの?」
「お前なー」
いつもの調子。私がちょっぴり悪態をつく。それをからかいながら交わすタイガー。
そして皆が笑う。
そう。いつもの光景。
でも、もうそれじゃ……私……
物足りないんだ……