第10章 キスだけじゃ、誘えない
「あ!ブルーローズ、おはよー見て見てっ!!!」
休日の朝、私はトレーニングセンターに来ていた。
「パオリン、おはよ。何?」
夕べは遅くまでテスト勉強……
頭がスッキリしない。けど……ここに来る理由はただ一つ……タイガーに会えるから。
「じゃじゃあ~ん!!!タイガーさんに貰ったタオル!!!」
「へ?」
「見て見て!ここっ!ほらっ!!!」
「……?」
「ワイルドタイガーって、サインもして貰ったんだぁ~」
な、な、な!!!
わ、私だってサイン……いや、違う。
ってか、アレって誰にでも渡してたモノなのっ!?
なんか怒りと悲しみが、グッと込み上げてきて……言葉が出ない……
思わず下を向いていると
「ふふっ!羨ましいんでしょ?」
笑いながらパオリンが尋ねてくる。
「え……?」
「はいっ!これっ!ブルーローズの分も、ちゃあんとあるからねっ!!!」
パオリンがニッコリ笑って、もう1枚持っていたタオルを渡してくれた。
「……あ、ありがとう……でも、これ……ダサくない?」
「ええええっ!可愛いよーすっごく!僕、気に入ったからブルーローズの分も貰っておいたのにー!」
「そ、そう?ありがとう……」
うん。もうここは、お礼を言っておこう。
それにしても、私が持ってるの知ってるのになぁ~タイガーも相変わらず、いいかげんなんだから。