第9章 虎徹さんの恋人
その後はまたオフィスに戻ると、珍しく出動要請のないまま就業時間を迎えた。
「今夜は俺んチでいいか?」
「はい」
「よし帰るか」
「はいっ」
俺が手を差し出すと、やっぱりまたぴょんぴょんっと跳ねて来て、俺の着ているベストに付いた胸ポケットにスッと入った。
そして俺の顔を見上げて
「なんだかここ、落ち着きますね。虎徹さんの心臓の音がよく聞こえる……」
「お、そぅか?」
……なんて返事したけど、やっぱりハンサムビームが半端ない。
でも最近忙しかったうえに、先日俺が小さくなって心配かけちまってたから……
俺の胸ポケットに入って、穏やかな笑顔で嬉しそうに俺の胸に身体を預けてくるバニーを見ていると
この状況、ホントはバニーにとってご褒美ナンじゃねーのかな?なんて思っちまって……
ま、でもそんな事バニーに伝えたら、すンげー怒りそうだから、黙ってるけど。
やっぱ、笑顔のバニーちゃんはいいわ。うん。
「虎徹さん、何、ニヤニヤしてるんですか?」
ふと気づけば、バニーが下から不審者を見るような目で俺を見ていやがった!!!
「だっ!こらっ!ニヤニヤじゃねーよ!ニコニコだ!」
「ふっ、変な虎徹さん。ま、今に始まった事じゃないですけどね」
「なにー!?」
いつもなら、ふざけてバニーの頭や肩を抱いてるトコなのにな……
ま、あと数時間の我慢だろう。