第9章 虎徹さんの恋人
「わ、悪かったよ、バニー。機嫌直せよ~なっ」
バニーを抱き締めて、キスをしようとしたら
「やめて下さい。ここトイレですよ。先に手を洗って下さい」
この潔癖め。今のは流されて、キスされとくとこだろーがっ!
まだ青白く発光したままのバニーが、ぴょんと俺の肩を台にして、手洗いの水道まで飛んで行った。
「そのサイズでも、能力発動しちゃうんだな」
「そうみたいですね。気付いたら発動してましたから」
水道はセンサーで反応するから、バニーだけじゃ水すら出ない。
俺は水を出してやると勢いよく飛び出す水に手をあてその勢いを弱めてから、バニーの方へ水が流れるように向けてやった。
「ありがとうございます」
ニッコリ嬉しそうに笑うバニー。
「やっぱお前、小さくてもハンサムだなぁ~」
思わず本音がポロリと溢れた。
「何言ってるんですか?僕ですよ。当然でしょう?」
「あーはいはい」
「聞いてます?」
「へーへー」
「虎徹さんっ!」
チュッ
俺はバニーの頭にキスをした。
顔を真っ赤にしたバニーが俺を見上げてくるから、言ってやった。
「手、洗ったらキスしていいんだろ?」
「……頭じゃイヤですよ」
「そうか、そうか」
今度は口にキスしてやろうと顔を近づけたら……
「いてーーーーっ!!!」
「ご、ごめんなさいっ!!!力の制御が難しいな……小さいと……」
青白く発光したままのバニーが、俺の顔面めがけて飛んで来た……