第1章 キスだけじゃ、我慢できない
「すいません。後はお願いしてもいいですか?」
バニーがスカイハイに声をかけると
「あぁ、構わないよ。君はタイガーのお嬢さんだね?」
スカイハイが楓に気づいて、声をかけてくれた。
「は、はい!楓です!」
「君のお父さんは素晴らしい方だよ。実に素晴らしい!」
「はいっ!」
楓が胸を張って答えている。
「楓ちゃん、また今度ゆっくり会おうね」
ブルーローズも楓に声をかけている。
「はい!ありがとうございます……ブルーローズって、ほんとにキレイ……」
うっとりとした楓が呟いた。
「やだータイガーに似ずに、素直ないい子ね~」
「はいっ!」
なんだその会話はッ!?
「ほら、虎徹さん行きますよ」
バニーが荷物を俺に押し付けてくる。
「えっ?いや、ちょっとはお前も……」
「僕は今から楓ちゃんの服を見に行くので。虎徹さんは休憩でもしていて下さい」
「え?じゃあ、俺も一緒に……」
「お父さんのセンスは合わないからいいよ、来なくて」
「え~ッ」
「その荷物、ちゃんと見ていて下さいね」
「じゃあ、俺、犯人……」
振り返ると、もう、誰もいなかった……
撤収、早いな……
ま、いっか。若い二人は、疲れないのかもな。
そう思い直し、俺はカフェで二人を待つことにした。
コーヒーを飲み終わる頃には、バニーと楓が戻ってきて……
「さ、家に帰りますよ」
そう言うと、追加の荷物まで俺に押し付けてきた。
「お前らもちょっとは……」
「今まで休憩していたんだから、それぐらい、大丈夫ですよね?」
「お父さ~ん、ありがと~う!」
二人が笑って言ってくる。
あーあ。
この笑顔に弱いんだよな……俺……