第1章 キスだけじゃ、我慢できない
「犯人は?」
「二人です。あ、犯人の映像が来ました」
バニーが走りながら映像を見せてくる。
「おい、これ」
「楓ちゃんのいる方向に向かってますね」
「くそっ。行くぞ」
「はい!」
俺達は急いで、楓のいる方に向かうと、すぐに犯人の背中が見えた。
「くっそーーーー」
「俺達の」「僕達の」
『家族の時間を邪魔するなーーーーー』
二人の声が揃うと、俺達はNEXT能力を発動させ、そのまま一気に犯人を確保した!
犯人もまさかこんなにすぐに、ヒーローが到着すると思っていなかったのだろう。
油断していたのが、運のつきだ。
暫くすると、カメラと一緒に、スカイハイとブルーローズ、そして折紙サイクロンがやって来た。
【おぉーっと、ヒーロースーツを着ていないバーナビーとワイルドタイガーがすでに、犯人を確保しております!!!今日は、キングオブヒーローも、ブルーローズも見せ場ナシだーーー】
実況の声が大きく響く。
「遅い」
俺が鼻を鳴らして言ってやった。
「なんでそんなに早いのよっ!これじゃあ、私の見せ場がないじゃない!」
ブルーローズがプリプリと怒っている。
「いや、素晴らしい!実に素晴らしい!」
スカイハイは……相変わらずだな。
あ、折紙のやつ、また見切れてる……
「楓ちゃん……」
バニーが呟いた。
店の中から、楓が出てきて、ニッコリ笑って言った。
「……二人とも、カッコよかったよ」
「そ、そうかァ~?」
デレッと鼻の下を伸ばす俺の横で、バニーが一言
「ありがとうございます」
そうか、そう言えばいいのか。言われなれてないから、照れちまったじゃねェかッ。