第7章 dandelion ~love's oracle~ Ⅱ
僕たちはアニエスさんの紹介で、退行催眠を施すカウンセラーの所に来ていた。
辛い過去を思い出させるのは、彼女にとっては、本当に酷な事になるだろう。
それでも僕たちは、やり遂げなければならない。
それは大切な友人
ライアン・ゴールドスミスのためにも!
薄暗い部屋でさんは催眠術をかけられる。
最初、僕たちやカメラが気になったのか、なかなか催眠状態にならなかった。
定点カメラだけを残し、僕たちは部屋を出た。
そしてそのカメラの映像を別室で見ていた時、僕のスマホが震えた。
僕は小さな声でその電話に出た。
相手はもちろんライアンだ。
『俺だ。犯人グループは捕まえたぜ。今、警察に引き渡してきた』
「流石ですね。思っていたよりも早かった」
僕は虎徹さんに、サムズアップのポーズをとると、虎徹さんも嬉しそうに笑った。
『で、そっちはどーなんだ』
「今、始まったところです」
『そうか……』
どこか他人事のような言い方のライアンに
「そうかじゃないですよ……あっ……」
虎徹さんが僕のスマホを、バッと奪った。
「いいから早くこっちに来い。わかったな」
それだけを言うと、ピッと通話を切って、スマホを僕に返してくる。
すると呆気に取られていた僕の手を虎徹さんは、ギュッと握ってきてニヤリと笑うと、僕の手を握る反対の手で、サムズアップしてきたんだ。
その笑顔に僕が惚れ直したのは、また、別の話……で。