第7章 dandelion ~love's oracle~ Ⅱ
本格的に始まった。
最近の記憶から辿って行く。
嬉しそうにライアンの事を話すさんに、何故か僕も虎徹さんも胸が締め付けられる思いで聞いていた。
ライアンは、本当にさんの事を大切に思っているんだな……
なんて思っていると、僕たちのいる部屋のドアが開き、ライアンが入ってきた。
「よぅ」
虎徹さんが軽く手を上げると
肩で息をしているライアンが、ジトッとした目で僕たちを見ている。
そして無言でモニターが見えるギリギリの……一番離れた席に着いた。
「もっと近くで見たらどうですか?」
「……いや、ここでいい」
離れているのに、前屈みになってモニターをじっと観ている。
この時は解らなかったんだけど……
すぐに離れていた理由が解った。
さんが、事件の事を思い出して叫びだしたんだ……
その声と顔を、きっと近くで観たくなかったんだ……
大きく何度も叫ぶさん。
彼氏の名前を呼んだり、助けを呼んだり……
僕も虎徹さんも、居たたまれなくなったその時、
急にさんは、叫ぶのを止めた。
叫ぶのを止めた理由。それは
彼氏の笑い声
だった。