第7章 dandelion ~love's oracle~ Ⅱ
「はい……職業柄、色んな犯罪や被害者を見てきてるんで……詳しい状況まではわかんなかったけど……」
俺はママの背中に手をあてたまま、そう答えた。
「でも、犯人はNEXTじゃないんですよね」
アニエスがママに確認した。
「ええ。色々調べたんですが……でも娘はそう思い込んでるんです。たぶんその方が娘は気が楽になるんだと思うんです」
「それは、どう言った……」
アニエスが聞くと
「最後に話した彼が……実は……犯人の仲間だったらしくて……握りしめていたケータイに事件当時の二人の会話がいつの間にか録音されていて……」
「そのケータイは!?」
アニエスがその言葉に反応して、机をバンッと叩き少し大きな声で聞いた。
「あ、はい。一度警察に渡したんですけど、今は私が持っています」
「それ、貸していただけます?」
「え、ええ……」
うーん、アニエスぐいぐい行くなぁ~ママひいてんじゃん。でも、俺も聞きたいことは聞く。
「そいつ、いや、その元彼ってヤツ、今は……」
「何処にいるのか……名前も偽名だったみたいで。娘は最初から騙されていたみたいで……」
「……もしかして、モリィって……」
「はい。何度かその人にも会ってるみたいなんですが、一度もなつかず、ずっと唸っていたって聞いています」
やっぱり。
「娘がね、嬉しそうに話すんです……ライアンさん、貴方の事を……」