第7章 dandelion ~love's oracle~ Ⅱ
雨がずっと降っている。
さっきバーナビーのケータイに、千代紙からメッセージが届いた。
『さんは無事に家まで送り届けました』
ホッと息をついたが……なかなかに、酷い状況だった。
どうやら主犯格の男ってのは、フツーの人間らしいんだ……けど
身体を一瞬だけ硬直させるNEXT能力をもつヤツと他に数名でつるんでは、犯罪を犯しているらしい。
それは小さな物が多く、ヒーローを呼ぶ程の事件にはならず、警察内で止まっていた事件が殆どだった。
それが判明したのも、2部ヒーローが出来た最近のことだった。
しかもレイプは、泣き寝入りするパターンが多く、おまけに身体を硬直させているからか、何が起こったかわからないままいつの間にか、路上に放置されている事が多かったらしい。
「ヒーローを呼ぶボーダーすれすれで犯罪を犯していた、と言うことですね」
「ええ。でもね、この街にはそんな犯罪、腐るほどあるのよ。警察も全てヒーローに頼れない、それをわかって犯人もやっているのよね」
大きな溜め息を吐くバーナビーとアニエスの声が、何処か遠くに聞こえる気がした。
苛立つ頭と、この呆れた現状。俺の力だけでは、どうすることもできない。思わず唇を噛んだとき
「俺さーさんのママに話、聞いてみるわ。アニエス連絡とってくれよ」
オッサンが俺に親指を立てて、言ってきた。