第7章 dandelion ~love's oracle~ Ⅱ
「アニエスさんから、連絡あったよ。どうやら目星が着いたらしい」
ランチの席に着いた早々、オッサンが言ってきた。
「へぇ。流石だな」
俺は店で一番高いランチを4つ頼んだ。
「わーライアンさん、ありがとー」
なんて千代紙が言ってくる。
「は?俺、奢るなんて言ってねーけど?」
「一番高いの勝手に頼んで、女性に出させるの?」
『えっ!?』
俺とバーナビー、そしてオッサン。3人の声が揃った。
「いや、お前女性は、ちょっとずーずーしぃんじゃ?」
珍しくオッサンがマトモな事を言う。
「なんですって?」
「いや、何でもナイ、な、バニー?」
「ははっ」
うーん、この3人の力関係が、徐々に変わってきてるな。オモシロイけど、ま、次に会う楽しみが出来たな。
「ま、豪勢な送別会、期待してっからよ」
俺が笑いながら言ってやると
なんとなくテーブルに、しんみりとした空気が流れた。
「オイ。止めろよ、その雰囲気。俺様の祝いの門出だぜ?笑って送ってくれよな」
俺がオドケた声をかけると、オッサンが
「お前……ほんとにいいのか?それで」
おいおい、俺がここを発つって決めた原因の張本人だろ?アンタも。
でも、ま、いーんだ。
「いいんだよ。これで」
「ライアン……」
バーナビーが小さく呟く。
「何?バーナビー、やっぱり俺にしとく?」
ふざけて肩を抱いてやった。
「だっ!こらっ!そんな意味じゃねぇっーの!」
ふざけていても、やっぱり少し寂しい笑い声がテーブルに響いた。