第6章 dandelion ~love's oracle~ Ⅰ
………………………………
僕はライアンに頼まれて、公園の中を走っていた。
ライアンの運ばれた病院から公園は、少し離れていて、公園の近くまでは車で来たんだけれど、中までは入っていけない。
息を切らして、先日二人を見かけたあのベンチ近くまでやってきた。
待ち合わせ時間から、3時間以上も過ぎている。
流石に帰っているだろうと思って行ったのに……
ライアンの言った通りだ。
犬を連れた女性が待っている。
でも、もう一人一緒にいるな……
話し声が聞こえる。
「ねぇ、。もう帰りましょう。今夜はもう彼も来ないわ」
「そんなことない……きっと彼なら、遅くなってでも……」
あぁっ!間違いない!!!
僕は息が上がったまま、二人に近づいた。
「すいません……さんですか……?」
僕の声に女性達が振り向いた。
「はい……」
「えっ!?あなたは!」
「……?お母さん?どうしたの?」
「バ、バーナビー……」
「えっ!?」
「はい。バーナビー・ブルックスJr.です。あの……」
この後の言葉に僕が詰まってしまった。
するとさんが
「まさか……ライアンって……」
「はい。ゴールデンライアン、僕の相棒です」
すると今度はさんの母親が
「ゴールデンライアンって……ケガを……」
「はい……」
僕は小さく返事をした。
「ケガの事をご存知なら、話は早い。彼は先ほど目が覚めました」
「ケガの具合は!?」
さんは、僕の声のする方に身体を向けるが……
あぁ……
目が見えないのか……