第6章 dandelion ~love's oracle~ Ⅰ
どうして彼女はライアンがヒーローだと言うことを知らないのか、
ライアンが彼女のことを、あんなにも心配していたのか、
何も言わないライアンの気持ちが初めて解った気がした。
「うちのメカニックは優秀なんですよ。ヒーロースーツを着ていたお陰で、ケガ自体は大きなモノではないので安心して下さい。今は意識もハッキリしています。」
「そう……よかった……」
ホッと息を吐く彼女を、母親が支えている。
「えぇ……でも……名前が一緒だな、なんて思っていたけど……本当にヒーローだったなんて……」
ケガが大事ではないのを知って嬉しそうな彼女とは対照的に、少し困惑した顔の母親が呟いた。
「僕はライアンに頼まれて、ここまで来ました。貴女がきっと自分を待っているだろうから、家まで送って行ってほしい……と……」
「……そうですか……わかりました……帰ろっか、モリィ……お母さん……」
こんな時間までライアンを信じて待って、そして次はまたライアンの言葉通りに帰ろうとするさんを見て僕は
胸が痛くなったんだ…………
「バーナビーさん、わざわざありがとうございました。母も一緒ですので、送って頂かなくても大丈夫です……ここで失礼しますね」
そう言って頭を下げる彼女は、何かを我慢しているように見えた……
それ以上何も言わない彼女と母親に
「さんは必ず僕が責任を持ってご自宅まで送ります!さん、一緒に来て下さい!」
僕は思わず二人に、頭を下げていたんだ。
to be continued……
この続きは久遠さまの
『君とならキスだけで【TIGER&BUNNY】』
「第7章 love's oracle ~dandelion~Ⅰ」
でお楽しみ下さい。