第6章 dandelion ~love's oracle~ Ⅰ
「ケータイ自体がね……その……苦手で……
それに直接、声が聞きたいの。
目で見えない分、耳で感じたい……」
ちょっと待った。それ……なんか……すげークルんだけど!?
そう言ったの顔は真っ赤で……
俺までつられて、赤くなっちまった。
「ライアン?」
「あぁ。ま、でも何か連絡とれるに越したことはねーからな」
照れ臭くて、何でもない風に返事をしてしまった。
「そうだね。何か考えとくね」
「あぁ……あ、俺、もう時間だ。行くな!ご馳走さんっ!」
ポンっとの頭を撫でて、ベンチから立ち上がった。
「お仕事頑張ってね」
「おお、またな」
「うん」
そして嬉しそうな顔のまま、こちらの方を見て手を振る。
いつもなら振り返らずに、まっすぐオフィスに向かうところだけど……
少し歩いてから、チラリと振り向いた。
すると、少し向こうにいるは、自分で頭を触りながら、モリィに話しかけているみたいだ。
ハッキリとした表情は、ここからは見えなかった。
けど……
どことなく嬉しそうにモリィに話しかけている様子が、伺えた。
俺はその様子を見ると、凄く満足した気分で午後からの仕事を片付ける事が出来たんだ。