第6章 dandelion ~love's oracle~ Ⅰ
「ライアン……?ライアンのくれたフライドライス……潰れちゃう……」
「あ……悪ィ……」
そっと離れると今度はが、俺の渡したランチボックスを下に置こうとしている。
「ここ大丈夫?」
「あ、あぁ?」
俺がそう言うと、はランチボックスを下に置き、手を俺の方に伸ばしてきた。
「……」
「うん……」
俺はもう一度をギュッと抱き締めると、今度はも、ギュッと抱き締め返してくれた。
の首筋に顔を埋めると、からは爽やかな……花の香りがした。
「ふふ……わかっちゃった」
「ん?」
俺は抱き締めながら返事をした。
「ライアンって……お日様の匂いがする……」
「え?」
「ライアンは、私を明るく照らしてくれるお日様みたい……
知ってる?目が見えなくてもね……
日の光って感じることが出来るの……」
「そうなのか?」
「うん……」
俺はを抱き締めたまま言った。
「デートの約束をしないか?」
「えっ?」
「今みたいに会えるかどうかじゃなくて……ちゃんと時間と場所を決めて……ダメか?」
「…………ダメじゃない、けど……いいの?」