第6章 dandelion ~love's oracle~ Ⅰ
そう言ったと同時に俺は、の作ったサンドイッチを頬張る。
「ウマイ!何これ、すげーウマイぜ!?」
「ほんと?」
「ああっ!」
そう、久しぶりに誰かが作った手料理を、俺は夢中で食べた。
そして、ふと隣を見るとスプーンを渡していなかったせいで、彼女は……いや、はまだ、一口も食べていなかった!
「悪ィ!俺、気付かなくて!俺ばっか食ってたな!」
そう言ってサッと、の手にスプーンとランチボックスを握らせた。
「ううん!嬉しそうに食べてくれてるの伝わってたから、言わなかっただけなの」
その時、気付いた。
握ったの手は、とても小さくて、細く……指先は……
切り傷だらけだった。
俺はスプーンと一緒に、の手をギュッと握った。
「やだ、もしかして気付いた?」
「あぁ……」
「実はね最近なの、料理をするようになったの」
「なんで?」
「前はね見えないんだから、出来なくてもいいって……実は何でもそう思って……引き込もってたんだ……」
そう言って下を向く。
「じゃあ……これは?」
サンドイッチの入ったボックスを、小さくカタカタと揺らして音を出す。
「練習したの。母がね嬉しそうに手伝ってくれたのよ」
こちらを見て、恥ずかしそうに小さく笑う。
気付けば俺はサンドイッチが入ったボックスを下に置いて
ギュッとを抱き締めていた…………