第6章 dandelion ~love's oracle~ Ⅰ
「移籍がそんなに嬉しいんですか?」
「へ?」
「鼻歌……歌ってましたよ」
俺はロイズに移籍の報告と、今後の予定の相談をしてから、オフィスにある自分のデスクに戻ってきていた。
「あーーー、ま、そんなトコかな?今よりもずっといい条件なんだぜ~」
「そうですか……」
少し寂しそうに俯くバーナビー。
「何?俺の事、気にしてくれてるの?」
俺は少しふざけてバーナビーの肩を抱いた。
「うわっ!止めて下さい!」
「何、そこまで言う?酷くない?」
顔を真っ赤にしてバーナビーが、口をパクパクさせている。
うーん、やっぱあんなおっさんに譲るんじゃなかった。
「コラッ!アンタ、またぶりっ子してんの!?」
後ろから千代紙がやって来た。
「し、してないですよっ!」
「いーや、してたっ!!!先輩に報告するからねっ!」
「ええっ!?」
なんかいつの間にか、コイツら仲良くなってんだよな。何があったんだか。
「アンタ、用事あってここ来たんだろ?何」
「あー書類。報告書をね、提出するのに来たの」
「預りますよ」
手を差し出すバーナビーに千代紙が
「うん、よろしくね…………って、ライアンさん……」
ニヤッと笑いながら俺を見ている。
「何?」
思わず聞いてしまったけど……
そう言えばコイツの能力…………
「いいコトあったみたいね」
それだけ言うと、バーナビーに書類を渡して出て行った。
なんか、アイツの能力……怖くね?