第6章 dandelion ~love's oracle~ Ⅰ
「あんまり遅くなると、家族が心配しちゃうから……」
「おぅ、今度は気を付けて帰れよ?頼むぜモリィ」
「ワンッ!」
「ハハッ、いい返事だ!」
俺がまたモリィを撫でていると
「……あの……」
「ん?」
「また会える?」
今度は少し赤い顔で聞いてくる。
あーこの顔……
思い出さない訳がない。
「そうだな、天気のいい日にな。また散歩に連れて来て貰えよ。足のキズも気になるしな。」
「うん!ありがとう!」
パッと花が咲いたように笑うに、俺は思わず目を丸くする。
「いや、え?ありがとう?」
ケガさせたの、俺なのに???
「友達になってくれてありがとう!久しぶりに家族以外と話をしたの」
「え?」
「ふふっ、じゃあまたね、ライアン!」
「あぁ、またな、」
あんなに人懐っこい彼女が、久しぶり?
ま、見えなくなって色々あったのかもな。
てか俺達、友達になってたんだな……
そっか、こんなに簡単に友達になれるのか。だったらアイツとも時間をおけば、友達になれるんじゃねーか?
………………いや、
とアイツを比べるのは止めよう。
大体アイツは、こんなにコロコロと表情を変えないしな。表情を変える時は……決まって、あのおっさんが絡んだ時だけ……
あーーーダメだ!俺もまだまだだな。あんなに格好つけて身を引いたのに。
とりあえず、オフィスに戻るか~!移籍の報告もしなきゃだしな。
それでも、ま、俺は公園に来たときの足取りよりも軽く、オフィスに向かっていたんだ。