第6章 dandelion ~love's oracle~ Ⅰ
「そうか……確かにこの街は犯罪が多いよな」
「そうなの。でもね、私はこの街が好きなの」
「へぇ……」
NEXTに目を見えなくされたのに?
「今もね、楽しいよ?」
「ん?」
「ケガをしても、こんなに親切にしてもらって……」
少しはにかんだように、笑っている。
「アンタ……お人好しだな……」
「アンタじゃないよ。」
「ハハッ、悪ィ口癖なんだ。」
俺が謝ると今度は、少し口を尖らせて……でも、笑っている。
「ふふっ。いい人なの解るよ?この子が吠えないでしょ?」
「え?」
俺はさっきから、と一緒にいた犬の背中を撫でていた。
「この子ね、凄く賢いの。危ない人には絶対に近寄らないの。」
「へぇ。じゃコイツがのヒーローだな」
「モリィだよ」
「俺のペットと同じ名前だな」
「ライアンも犬を飼ってるの?」
今度は少し驚いた顔をしている。
「いや、イグアナ」
「えっ!?」
次は困った顔。
「あ、爬虫類ダメ?可愛いんだぜ~」
「う、ちょっと苦手かも……」
コロコロと変わる表情に、いつのまにか俺もつられて笑っている。
「ハハッそっか。モリィ、ちゃんとを守って家に連れて帰ってやれよ?」
俺がモリィにそう声をかけると
「ワンッ!!!」
って返事までしてる!
「ね、賢い犬でしょ?」
「あぁ!すげーなモリィ!」
俺がモリィの背中を撫でてやると、モリィは跳ねるようにして喜んでいた。