第6章 dandelion ~love's oracle~ Ⅰ
「アンタ……家は近いのか?」
「はい。今日は天気がいいから、散歩に連れて来てもらったんです。ね」
そう言って犬の顔を撫でると、犬は嬉しそうに女性の手をペロペロと舐めている。
「アンタが連れて来て貰ってるのか?」
「そうなんです。あの……私の名前です」
「あぁ……アンタじゃ失礼だったな。俺はライアンだ、」
「ライアン?」
「あぁ」
「ふふ、最近来たヒーローと同じ名前なのね」
あ、そうか見えてないから俺がそのヒーローだって解んないのか。
「そうだな。は、ヒーロー好きなの?」
「うん」
「誰のファン?」
「うーん、誰かなぁ~?最近のヒーローの顔は見てないからなぁ~」
「?ってことは、前は見えてたのか?」
「そうなの……3年前にね……NEXTにやられちゃったみたいで……急に……」
「えっ!?じゃあ、時間が経てば治るとか、そいつにもう一度会えばなんとかなるんじゃないの?」
「そうなんだけど……未登録の犯罪者のNEXTみたいで……」
「見つからないのか……」
「うん……」
しょんぼりと肩を落とす。悪いことを聞いちまったなぁ……
「……そっか、NEXTの事、イヤじゃねーのか?」
思わず……聞いていた。
「あ、ヒーローとか?ううん。そんなことないよ。だって彼らがいないと、この街は大変だもん」
その返事に、俺は少なからず
ホッとしたんだ。