第1章 キスだけじゃ、我慢できない
片付けが終わって、俺とバニーはもう一度軽く呑み直し始めた。
俺達はL字型に置いたカウチの端と端に、座っていた。
「泊まって良かったんですか?」
「いいよ、いいよ。楓も喜ぶし」
「楓ちゃん、も?」
バニーがズイッと俺に近づいてくる。
「え、俺、そんな言い方した?」
「えぇ。しました」
「気のせいじゃねェか?」
「違いますね」
「へ、へェ~」
俺は惚けて、焼酎のお湯割りを一気に煽った。
「ダメですよ。素直にならないと」
「お前に言われたくない……」
そう言って詰めて来た距離は、一気に縮まる。
「ん……」
俺とバニーのキスをする音が、一人暮らしには充分過ぎる広さのリビングに響く。
「はぁ~……ここで、止めるの辛いですね……」
「俺もうムリだわ……」
思わずバニーに覆い被さると
「ダメですよ!僕まで楓ちゃんに嫌われたくないですから」
「おい!僕まで、って!」
「じゃ僕、今日はゲストなので、先にシャワー浴びてきます」
スッと俺から離れるバニー……
「へーへー」
なんだよ、こいつホンと冷静だよな。
もう一杯、焼酎のお湯割りを飲もうと、台所に足を向けた時、
「もう今日はおしまいです。虎徹さんは、僕の着替えを用意しておいて下さい」
そう言って、バニーは俺の手からグラスを取り上げた。
「もう一杯だけ、なッ?」
「ダメです。これで、我慢して下さい」
そう言うと、もう一度、ゆっくり……
お互いの舌を交わらせた。
熱くて甘い、幸せな気分になるそのキスに
腰の力が抜け、思わずカウチにドスンと座ってしまった……
「じゃ、着替えよろしくお願いします」
……
あー何回、顔赤くしてんだ俺。
小娘じゃあるまいし……