第1章 キスだけじゃ、我慢できない
「あー良かった!まだバーナビーがいて!」
「いますよ、約束したんですから」
「うん!でもお父さんは、約束なんてほとんど守らないんだよ」
「いや、だからそれは……」
台所から、食器を拭きながら声をかけると
「ねぇ、食洗機くらい付いてないの?この家……」
「あんなのいらねェよ。別に普段は料理なんてしないし」
「いえ。買いましょう」
バニーが会話に入ってきた。
「何で」
思わず、ブータレた声が出た。
「また楓ちゃんが来たときに、僕と一緒に料理を作るからです」
「ほんと!?バーナビー!?」
バニーに抱きつく、楓。
「えッ、あッ!」
楓、俺には抱きついてなんてこないのにっ!!!
思わず声が出た!!!
「明日、一緒に買いに行きましょう」
「うん」
なんか二人で約束してるし……
「じゃあ、今日はバーナビーも泊まって行ってね」
「え?」
「明日も会うんだし、いいでしょ?ね?お父さん」
「あ、あァ……」
「朝御飯も一緒だね!バーナビー!」
「そうですね。じゃあ、もう今日は遅いから、楓ちゃんは休みましょうか?」
「うん!おやすみ、バーナビー!」
「おやすみなさい。楓ちゃん」
「あ、おッ、おやすみッ!楓ッ」
急いで俺も声をかけた。
「……あー……お父さんも、おやすみ~」
お父さん、も……
も……
俺はついでか……
ガックリと肩を落とした。