第5章 Loving you is Killing me.Ⅲ 前編
病院に着くとすぐに検査が始まった。
千代紙さんは、虎徹さんの下でずっと守られていたからか、特に何もなかったんだけど……
虎徹さんは、かなり胸を圧迫されていたようで、念のため1日だけ入院することになった。
「…………悪かったな。お前にまで、こんなケガさせちまって……」
僕の顔に虎徹さんの手が伸びてくる。
そう僕はヒーロースーツを着用せずに瓦礫が舞い上がる中に突っ込んで行ったので、切り傷だらけになっていた。
「いえ、僕の判断が甘かっただけです」
「……でも、助かったよ。千代紙も……俺も……ありがとナ……」
虎徹さんが……僕の頬を撫でながら言ってくれた……
「お二人とも、無事でよかったです」
僕はその手に自分の手を重ねた……
「あー……お前も、もう帰れよ……」
「いえ、このまま僕も一緒に……」
頬にあてられた手が嬉しくて……僕は欲張った事を言ってしまった。
「はぁ?何言ってんだよ。早く帰れよ。お前もやることあんだろ?」
そんな事を言うのに……虎徹さんは僕の手を払わないんだ。その事に幸せを感じていると突然
病室のドアがノックされた。
ノックの音を聞いた虎徹さんは、パッと手をベッドの上に戻してしまい……同時に病室のドアが開いた。
「どう?おっさん」