第5章 Loving you is Killing me.Ⅲ 前編
最後に彼と……虎徹さんと目があったのは、いつだったんだろう……
初めてライアンと身体を重ねた翌日、会社の入り口にポツンと立っていた虎徹さん。
あの時、少し目があった。
でも、僕の後ろからライアンが走ってきて
「待てよぉ、バーナビー。コーヒー買ってるうちに、先行くなんて酷くない?」
そう言って僕にコーヒー渡そうとするライアン。
受け取ろうとした時に、ライアンが僕の額に
キスをしてきた……
「うわっ!あっちっ!!!」
「え?」
「ちょっとバーナビー、ちゃんと受け取ってよ!俺の熱い愛をっ」
「何言ってるんですか、コーヒーでしょう?」
僕はコーヒーをちゃんと受け取る事ができなかった。
人前でキスをしてきたライアンにビックリしてしまったから……
なんて
建前
虎徹さんに見られたのが、やっぱりショックだったんだ。
「すいません、買い直しに行きましょう」
「いいよ、俺のシェアしようぜ」
ライアンはそう言うと、今度は僕の肩に腕を回し、また、額にキスをしてきた。
もう、虎徹さんはいなかった…………