第1章 輪廻
あかは、村一番の美しい女子だった。
紅い瞳こそ不気味と言われていたが、白い肌に長く艶やかな黒髪、唇は紅を引いたように鮮やかで、手足はすらりと長い。
村の男たちは、あかを不気味と口では言うものの内心はその美しさに戸惑うばかりで、それが余計に女たちの嫉妬を助長させていた。
また産みの親である母も、日毎美しく成長してゆく我が子を親としてではなく同性として、嫉妬せざるを得なかった。
紅い瞳がより、美しさと妖しさを感じさせた。
しかしあか本人は、自身の生まれ持った美しさを知らない。
周りからは煙たがられ、親に愛されず生きてきた彼女にとって、何故皆と同じでは無いのかと思うばかりだったからだ。
「…ーーっ!」
あかは叫んだ。
心の奥底から。
助けを請い、身体を揺らし、死にたく無いと必死にもがいた。
花の香りで目が眩んでも、肌に食い込む縄で傷をつけても。
あかは叫んだ。
命尽きるまで。
ずっと、ずっと。
もがき続けた。