• テキストサイズ

曼珠沙華の花が咲く【鬼灯の冷徹】

第1章 輪廻



そこは、美しい花を咲かせた、妖しの樹。

光が無い、暗い夜の中でも淡く輝いている。

ただ、いつもと違うのは、そこに‘ナニか’が吊るされていると言うこと。

風もないのに‘ソレ’は、静かに揺れている。

「…………」

それは、つい先程事切れた、あかであった。

頬には幾重にも流れた涙の跡があり、目尻にはまだ乾いてない涙が溜まっている。

無理に動いて縄で擦れた腕が、痛々しい。

歯を強く食いしばっていたのか、少し空いた唇の隙間から血が流れていた。


青い鬼火は、ふわふわとあかの周りを一周する。

何かを吟味しているようで、近づいては離れ、離れては近くを繰り返していた。


ー死人(しびと)と鬼火。

異様な空気の中、鬼火は満足したのか、あかの胎内へ入った。

刹那、冷気があかの身体を包み、白い霧でが辺りに広がる。

ブチ、と音の後に次いでジャリ、と土を踏む音が響いた。
/ 8ページ  
エモアイコン:泣けたエモアイコン:キュンとしたエモアイコン:エロかったエモアイコン:驚いたエモアイコン:なごんだエモアイコン:素敵!エモアイコン:面白い
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp