第1章 輪廻
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幾日か過ぎた、宵闇。
月が出ない暗夜。
ゆらゆらと、青く光る鬼火が一つ。
当てもなく彷徨っている。
時折速さを増し、上下左右、自由に漂う。
炎のように揺らめく鬼火は、人の手には届かない高さまで上がると、すぅっ…と何かに導かれるように動き始めた。
人には感じ取れない‘ナニか’を感じたのか、不気味な程に、意思があるかのように進む。
辺りはとても静かだ。
虫の音も、風で揺れる草の音もしない。
ひやりと冷たい空気が辺りを支配し、もし人がいたならば凍える程であった。
ー近い。
鬼火はボワっと膨らみ、目的の場所まで辿り着いた。