第15章 It’s my fault
ごちゃついた室内で持て余す時間。
初めて迎える期末試験で間を持たそうとしたが、無意味。
「…相澤くんってさ、好きな子とかいないの?」
思春期の今はそれが精一杯の話題。しんと静まり返る室内に自分の脈の音が響いてしまわぬ様にほんの少しだけ大きな声で聞いてみた。
一拍、二拍。
そして彼がゆっくりと口を開く。
「いる」
たった二言に胸が傷んで、先程まで速かった脈が遅くなるのを感じた。
「そうなんだ…誰?教えてよ」
「嫌だ」
横並びに座る彼の肩に手を置いて、私は更に言う。
「いいじゃん、減るもんじゃないし…じゃあどんな子?」
「普通の子。触るなよ」
手を払い除けられ、彼が私に問うた。
「お前はどうなんだよ」
「私?…私は最近失恋したかな」
今、正に。隣に座る彼を思い言葉を零す。
「…悪ぃ。あー、…………俺は友達と同じ奴好きになっちまった。…だからもう諦めるつもり」
重たかった口が軽くなるのはこのごちゃついた部屋のせい。
触れてはならない話題に触れた、せめてもの、とでも言うように彼がそう言った。
「諦める必要あるの?」
「まぁ、その友達の方が似合うから、それでいいんじゃねーの?」
そして囁く、私の心。
「じゃあさ、お互い失恋したって事でさ……ヤッちゃう?」
「なんでそうなるんだよ」
彼の腕を掴んで倒れた。真新しいシーツに沈み込み、彼を見る。
「寂しいんだよ」
心を惹かれた彼を目の前にして、私はまたひとつ、自分の心を騙した。